昔は、夫が働き妻が専業主婦という家庭が多かったようですが、今では共働き夫婦がどんどん増えています。共働きの場合、住宅を購入したいときに住宅ローンの「収入合算」や「ペアローン」を利用すれば、その分借入可能額が増えるため、より高い物件に届きやすくなります。住宅の金利は低いものの、住宅費用は物価上昇に伴い高くなっていますので、住宅ローンを上手に使い、希望する物件を購入したいですね。
とはいえ、「収入合算」と「ペアローン」ってどっちがいいの?と悩まれるかと思いますので、今回は2つのローンの違いと、メリット・デメリットを紹介しますので、ローンを組む際の参考にしてください!

住宅は人生で一番高額な買い物といわれていますので、ローンを組む際も慎重に検討したいところです。ご家庭にあったローンの選択ができるように夫婦で話し合って決めてください♪
収入合算とペアローンの違と
そもそも「収入合算」と「ペアローン」とは、親子や夫婦で収入を合算して住宅ローンを組む方法になります。どちらも単独で利用する場合に比べて借入額を増やせるということになりますが、それぞれ違いがありますので確認しましょう。
収入合算とは?
収入合算とは、住宅ローンの申込者の収入に、親族(夫婦や親子など)の収入を合算し、合算した金額に基づいて住宅ローンの審査が実施され、借入可能額が決定される方法です。なお、収入合算者は、連帯保証人または連帯債務者になることを求められます。
金融機関によっては、法律上の親族に限定されず、「同居予定の婚約者(入籍を証明する書面の提出を求められる場合あり)」や「同性パートナー(公正証書などの提出が必要)」の収入を合算できる場合もあります。
ペアローンとは?
ペアローンとは、1つの物件に対して、親族(夫婦や親子など)と、それぞれの収入を基準に、合計で「2本」の住宅ローンを組む方法です。収入合算とは異なり、それぞれが契約者となりローンを組むので、両者とも債務者となり、互いに相手の連帯保証人になります。
また、ペアローンの場合、それぞれの借入金額等に応じて物件持分を共有保有するため、住宅ローン控除を2人とも利用でき、節税効果が高くなります。
なお、ペアローンに関しても、金融機関によっては「同居予定の婚約者」や「同姓パートナー」の関係であっても利用できる場合があります。
収入合算のメリット・デメリット
収入合算のメリットとデメリットは次の通りです。
メリット
収入合算の場合、ペアローンと比べると諸費用が安く済むことです。
住宅ローン契約の本数は、申込者(主債務者)の「1本」になるため、契約に伴って必要になる諸費用(事務手数料、保証料、登記にかかる登録免許税、司法書士への報酬、印紙税など)が、契約が2本となるペアローンと比較すると、諸費用が抑えることができます。
デメリット
収入合算で連帯保証型の場合、住宅ローン控除を受けられるのは、申込者(主債務者)のみで、連帯保証人は主債務者ではないなため、住宅ローン控除が適用されません。
連帯債務型の場合は、それぞれ住宅ローン控除を受けることができます。
また、収入合算の場合、基本的に団体信用生命保険に加入できるのは申込者(主債務者)のみで、収入合算者は、団体信用生命保険に加入できません。そのため、収入合算者に万が一のことがあっても、団体信用生命保険による保障を受けることは出来ません。
ペアローンのメリット・デメリット
ペアローンのメリットとデメリットは次の通りです。ペアローンのメリット・デメリットは収入合算のメリット・デメリットの逆になります。
メリット
ペアローンの場合、ペアとなる夫婦や親子などの両者が主債務者となり、2本の住宅ローンを組むことになるので、両者ともに住宅ローン控除を受けることができます。両者それぞれで住宅ローン控除を受けれるため、世帯全体で大きな節税効果が期待できます。
また、ペアローンの場合、住宅ローン控除と同様に両者が団体信用生命保険に加入することができます。それぞれで団体信用生命保険に加入すると、一方に万が一の事態があった場合に、その契約者(債務者)の分の債務は完済することができます。ただし、もう一方のローンは残るので注意しましょう。
デメリット
ペアローンの場合、ペアとなる夫婦や親子などの両者が主債務者となり、合計2本の住宅ローンを組むことになるため、諸費用(事務手数料、保証料、登記にかかる登録免許税、司法書士への報酬、印紙税など)が2本分かかります。つまり、収入合算と比べると2倍かかることになります。
しかし、ペアローンでは、ペアの両者が住宅ローン控除の恩恵を受けられます。「諸費用の合計」と「住宅ローン控除で減税される金額の合計」を比較し、メリットがデメリットを超えるかどうかを慎重に検討しましょう。
収入合算とペアローンどっちがいい?
収入合算とペアローンのメリットとデメリットを紹介しましたが、結局どっちがいいの?というと家庭の状況と何を優先したらお得になるかを考えて決めていただくのが一番です。
まとめると次の表のとおりです。
単独ローン | 収入合算 | ペアローン | ||
連帯保証型 | 連帯債務型 | |||
借入可能額 | 債務者の収入に応じた金額 | 夫婦の収入を合わせた金額に応じた金額 | 夫婦それぞれの収入に応じた金額 | |
申込者(債務者) | 夫婦どちらか1人 | 夫婦どちらか1人(もう1人は連帯保証人) | 夫婦どちらか1人(もう1人は連帯債務者) | 夫婦両方(夫婦双方が互いに連帯保証人となる) |
住宅ローン控除 | 債務者のみ利用可能 | 債務者のみ利用可能 | 債務者・連帯債務者どちらも利用可能 | 夫婦それぞれ利用可能 |
団体信用生命保険 | 債務者のみ加入 | 債務者のみ加入 | 債務者のみ加入 | 夫婦それぞれ加入 |
物件の名義 | 債務者の名義 | 債務者の名義 | 夫婦の共有名義 | 夫婦の共有名義 |
こんな場合に |
片方の収入がメインで、片方のの収入は補助的 | 夫婦の収入が安定している | 夫婦ともバリバリ働いて収入が確保できる |
住宅ローンを借りる際の諸経費を抑えたい場合は、「収入合算」、
住宅ローン控除をフル活用したい場合は、「ペアローン」がおすすめです。
例えば、2025年に新築の長期優良住宅に入居し、13年後の2038年まで住宅ローン残高が4,500万円以上残っていたとします。この場合、1年間で控除できる金額の上限は4,500万円×0.7%=31.5万円、13年間の合計は31.5万円×13年=409.5万円が1人の最大控除額になり、ペアローンなら2人で最大で819万円も控除することができます。
一方、収入合算の場合は主債務者にしか控除が適用されないため、世帯全体として13年間で最大409.5万円までしか控除を受けられません。
以上から、「諸費用の合計」と「住宅ローン控除で減税される金額の合計」を比較し、メリットがデメリットを超えるかどうかを慎重に検討しましょう。
住宅ローン控除の詳細は下記の記事をご参考ください。
おわりに
今回は、住宅ローンの収入合算かペアローンの違いとメリット・デメリットについて説明しました。
住宅ローンを組む際に、1人分の収入だけだと希望する物件の価格分を借り入れられるか分からない…といった場合には、「収入合算」や「ペアローン」といった方法を活用することで、借入可能額を増やすことができて、希望する物件の価格分のローンが組めるかもしれません。
とはいえ、それぞれデメリットもあり、今後どのようなライフプランを考えているのかも踏まえて、夫婦で慎重に検討する必要があります。また、金融機関によって取り扱いの有無も異なりますので、事前に確認しておくことも大切です。
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