妊娠・出産では思いがけないトラブルでお金がかかることがあります。健康保険が適用される医療費が高額になった場合には、医療費が助成される「高額療養費」制度があります。事前に制度を把握しておき、トラブルに備えましょう!

妊娠・出産にかかる医療費は通常、健康保険の適用外となります。ただし、健康保険の適用となる治療もありますので、健康保険が適用かどうか確認しましょう♪
高額療養費について
妊娠・出産でかかった医療費には健康保険が使えませんが、切迫流産や切迫早産の治療や帝王切開などは医療費に健康保険が適用されます。「高額療養費」は、同じ医療機関で支払った1か月間の保険適用医療費が、所得に応じた自己負担限度額を超えた場合に助成してもらえる制度です。では、概要を確認しましょう。
保険適用医療費に該当するケース
妊娠中
●つわり(重症妊娠悪阻)
●切迫流産
●流産
●子宮頸管無力症
●妊娠高血圧症候群
●切迫早産
●前期破水
●早産
●さかごや前置胎盤の超音波検査
●児頭骨盤不均衡の疑いでのX線撮影
●合併症
●そのほかの疾患 など
出産・入院中
●微弱陣痛で陣痛促進剤を使用
●死産
●止血のための点滴
●吸引分娩(適用外の場合もあり)
●鉗子分娩(適用外の場合もあり)
●帝王切開
●医学的適応の場合の無痛分娩の麻酔(心臓病などの事業があり、必要な人の場合など)
●赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に入る場合 など
対象者
対象者は、健康保険がきく治療をした人で、医療費が1ヵ月自己負担限度額を超えた人になります。
もらえる金額
もらえる金額は、自己負担限度額を超えた額になります。
申請・受け取り時期
申請方法が、事前認定と事後申請の2種類があり、それぞれ申請・受け取り時期が異なります。
手続きに必要なもの
手続きに必要なものは以下の通りです。
事前認定の場合(医療機関に提示)
✅ 健康保険限度額適用認定証
事後申請の場合(健康保険または役所に提示)
✅ 高額療養費支給申請書
✅ 健康保険証
✅ 医療機関の領収書
✅ 口座番号
✅ マイナンバーカード
手続きの流れ
具体的な手続きの流れは以下の通りです。
事前認定
あらかじめ入院が決まっている場合は「事前認定」をします。
① 入院予定期間が決まったら
① 入院予定期間を医師に確認の上、限度額認定の申請書をもらい、提出します。入院前または、入院中に健康保険の窓口か勤め先の担当窓口(国保の人は役所)で申請書をもらい、記入後、健康保険か役所へ提出します。
② 提出後
加入している健康保険から健康保険限度額適用認定証が発行されます。
③ 入院時~退院時
認定証を入院時・入院中に医療機関に提示します。退院時に自己負担限度額のほか、食事代や差額ベット代などを支払います。
事後申請
予期せず医療費が高額になった場合は「事後申請」をします。
① 退院時
医療費の3割程度を産院の窓口で支払います。この時、領収書をもらっておきます。
② 退院後
加入している健康保険(国保の人は役所)で申請書をもらい、「高額療養費」の支給を申請します。
③ 申請後
加入している健康保険から「高額療養費」が支給されます。
自己負担限度額の一覧表
自己負担限度額は所得によって異なります。5つの所得区分に分かれていて、夫婦それぞれが健康保険被保険者なら各自の標準報酬月額※で、夫婦とも国保の場合は世帯収入でみます。
※標準報酬月額とは、健康保険料を決めるために設けられている数万円ずつに区切った月給区分のことです。月給は、通勤手当などの各種手当を含み税金、社会保険料などを差し引く前の支給額になります。
所得区分 | 自己負担額限度額 | |
---|---|---|
A | 市区町村民税非課税者 (標準4人世帯の場合で年収250万円程度以下の人) |
3万5400円 |
B | 標準報酬月額が 26万円以下の人 |
5万7600円 |
C | 標準報酬月額が 28万~50万円以下の人 |
8万100円+α ※かかった医療費(10割総額)が26万7000円を超えた場合には、+αとして(かかった医療費ー26万7000円)×1%を加算して退院時に窓口で支払う。 |
D | 標準報酬月額が 53万~79万円以下の人 |
16万7400円+α ※かかった医療費(10割総額)が55万8000円を超えた場合には、+αとして(かかった医療費ー55万8000円)×1%を加算して退院時に窓口で支払う。 |
E | 標準報酬月額が 83万円以上の人 |
25万2600円+α ※かかった医療費(10割総額)が84万2000円を超えた場合には、+αとして(かかった医療費ー84万2000円)×1%を加算して退院時に窓口で支払う。 |
まとめ
今回の記事では高額療養費について概要と手続き方法、自己負担限度を説明しました。
妊娠・出産時のトラブルなどで医療費が高くなってしまった場合には、高額療養費制度を利用し、自己負担限度額以上に支払いをしなくて済むようにしましょう。突然発生してしまった場合も事後申請をすれば戻ってきますので、落ち着いたタイミングで忘れずに申請をするようにしましょう!
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